2012年9月8日土曜日

百万言の中の一言

本を読んでいると、「あぁ、この一言だ」と納得する文章や言葉に出会うことがある。
時には、本文ではなくあとがきの中にあったりすることもある。

例えば、久保俊治氏の熊撃ちなら、「猟犬は、どんなに素質が良くとも、主人の技量と心以上には育たない」という一文が挙げられる。

司馬遼太郎氏の坂の上の雲なら、「而して武力なるものは艦船兵器等のみにあらずして之を活用する無形の実力にあり。百発百中の一砲能く百発一中の敵砲百門に対抗し得るを覚らば、我等軍人は主として武力を形而上に求めざる可らず。」が挙げられる。

これなどは、今の仕事に直結するところが多い。

さらに、「のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。」という文章が第1章のあとがきにある。この「一朶(いちだ)の白い雲」が、私にとっては「あぁ、この一言だ」と思った。単に「一朶(いちだ)」という単語だけと言うことも出来る。

そんな言葉に出会えた本は忘れない。

こうして忘れられないものが増えていく。

0 件のコメント:

コメントを投稿